白雪姫

.11 2013 comment(0) trackback(0)
去る11月23日と30日、『林勇輔の生声溜め~童話vol.1 & 1'~』と銘打ってイベントを行った。
題材は、『白雪姫』――――――
改めて読んでみると、「こんな話だったのか!?」と驚く。

白雪姫は七歳の少女だし、そんな小娘の美しさに嫉妬した女王は、白雪姫を殺し、その証拠に肝臓を持って帰るようにと狩人に言い付け、それを塩茹でして食べてしまうし(結局、白雪姫を殺せなかった狩人が持って帰ったのは、イノシシの臓物だったのだが……)。
何度も生き返る白雪姫を三度も殺しに行くし(一回目は飾り紐で絞殺、二回目は毒を塗った櫛を髪にブッ挿し、三度目はおなじみ毒リンゴ)。
白雪姫はというと、子供とはいえ、三度も騙され殺される浅はかさ。
更に、王子様のキスで生き返るわけでもない。
物語の結末に至っては、白雪姫と王子様の結婚式に呼ばれた女王が、真っ赤に焼けた鉄の靴を履かされ、焼け死ぬまで踊らされるではないか!

グリム童話には、残酷なシーンやらセクシャルな描写やらが見え隠れしている。
本当はこんなにも猟奇的でエロティックだったりするのよ~という本や漫画も、一時、ブームになった。
それらは、とてもグロいお話しだったりする。
例えば、王様と白雪姫は近親相姦の関係だったり、死体を欲しがる王子はネクロフィリア(死体愛好症)だったり、とか……カニバリズムや魔女裁判なども登場する。
背景をヨーロッパの或る時代と想定し、時代考証することで、原作のブッ飛んだエピソードに説得力を持たせている。
とても面白いと思った。
しかし、女王が魔法の鏡を持っていることは、何故か当たり前だったりする。
どういう謂れで、魔法の鏡を持っているのかは書かれていない。

う~む、気になる…

しかし、この“実は本”の登場によって、この物語が“童話”ではなくなった瞬間、登場人物たちの動機が気になり始めた。
王と白雪姫が近親相姦に至った動機(単なる性の趣向だとしても、そこには苦しみやストレスがあるはず)や、ネクロフィリアの王子が、生き返った白雪姫と結婚したのは何故か、とか、小人たちが白雪姫を家に住まわせるのは単なる親切心からなのか、とか、殺せと命じられていたにも関わらず、白雪姫を殺さなかった狩人の動機、とか……
中でも一番知りたかったのは、女王が白雪姫を殺す動機と、最後に白雪姫が女王を殺す動機だった。
やはり、この二人が中心の物語なのである。


女王の動機は、自分を凌駕してしまった娘の美貌と、夫との関係への嫉妬……?
白雪姫の動機は、自分を殺そうとした母への復讐……?



実は、良く知られている≪白雪姫≫では、女王は継母だが、グリム童話第一刷では、なんと実母なのだ。
そう――――――元々は、実母が実の娘を殺し、実の娘が実の母を殺す話なのだ。
そうなると、妬みや復讐心だけでは納得がいかない。
実の母娘なら、もっとこう…“何か”があるのでは……?

図書館に籠り、童話≪白雪姫≫について書かれた本を開く。
芋づる式に、あらゆる本に繋がってゆく。
心理分析の本は勿論、錬金術の本にまで。
やはり、近親相姦、エディプス・コンプレックス、ネクロフィリア、カニバリズム、魔女裁判、拷問などのワードが出てくる。
物語中に散りばめられている、メタフォリカルな表現の意味するところを、それぞれの切り口で分析していたり、とても面白いのだが、どれも、僕が一番知りたいことを満たしてくれるには至らない。


何かに繋がるヒントをくれているような気配はするのだが……


映画も、『白雪姫』と名の付くものは総て観てみた。
流石、二次元のものを三次元にしているわけだから、動機付けがなされ、それぞれにとても興味深かった。
しかし、どれも“継母設定”なのだ。
だ~か~ら~!僕が知りたいのは、


【何故、女王は“我が子を”殺そうとしたのか、何故、白雪姫は“実の”母親を殺したのか――――――?】


なのですよ!!
僕には子供がいないし、女性でもないから母親にもなれないし、また娘でもない。
だから、母娘の関係など、到底わかる筈ないのかも知れない。
でも、単純に思ってしまう。
自分の子供を殺せるのだろうか…と(まぁ、虐待の末に子供を殺してしまう親や、財産絡みで親を殺す子供のニュースを聞いたりもするけれど…)。

例えば、戦時中だとか……尋常ではない状況下なら、あり得るのかも知れない、とか想像してみたりする(悲し過ぎるし、イヤだけど!)。
実際、これは現代のお話しではないし、時代的にも、今とは違う感覚や常識があったのだろう、とも考えてみる。
しかし、時代など関係なく想像できることは、殺してしまったことによって、母親は、きっと正気ではいられなくなるだろう、ということだ。
じゃ、殺す前は?正気だったの??
やはり、正気ではなかった、或いは、正気ではいられなかったろう、と想像してしまう。
ならば、彼女が正気でなくなってしまう(いられなかった)きっかけがあったはずだ。
それが気になるし、知りたいと思った。
悪い魔法使いだからとか、魔女だとかいう都合のよい設定は置いておいて、一人の人間として、何故そういう行動をとったのかを知りたいのだ。
たとえ継母であったとしても、やはり、殺すのは行き過ぎなのでは………
……



じゃ、自分なりに白雪姫の物語を書いてみよう!


と思った。
先ず、王様と女王様に、半端ないプレッシャーが掛かる状況を設定してみた。
それによって、二人の常軌を逸した行動に納得がいった。
次に、何故、女王が魔法の鏡を持ってるのかという理由を考えてみた。
結果、いわく付きではあるけれど、“魔法の鏡”ではなくなった。
しかし、依然、鏡と女王のやり取りは、ファンタジックではあるけれど……
狩人という人物も、重要な役割を担い、大きく膨らんだ。
小人たちが何者なのかも、自分なりに考えてみた。
ネクロフィリアの王子は、結局登場しない。
そして、一番知りたかったことを知る為に、母である女王の動機を丁寧に追ってみた。
悪い魔法使いとしてではなく、一人の人間として。
すると、自ずと、物語の結末に、白雪姫が母を殺す動機が見えてきた。
僕が見たものは、決して復讐ではなかった――――――

僕の≪白雪姫≫を、今回の童話編でお披露目してみた。
というのも、僕は作家ではない。
書くだけでは腑に落ち切らないので、“物語の読み聞かせ”という形で、演じて(生きて)みたというわけだ。
先ず、23日に演ってみる。
やはり、発見がある。
手直しを加え、一週間後の30日に再び……そんな僕の物語に居合わせて下さった皆様、ありがとう。


最後に――――――
役者のこういった作業は、決して、殺人を肯定するものではない。
ただ、動機を探ることにワクワクしてしまう役者という生き物は、なんとも因果なモノだ、と、つくづく思うのだった。


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Author:yoosque
林勇輔――――役者
1974年5月16日(木)、疳の蟲を身体いっぱいに抱え、この世に生まれ出ずる。
<幼年期>
蟲たちは、勇輔の故郷、讃岐の民間療法により体外に誘き出され駆除されたかに見えたが、未だ体内に巣食っている模様。
<少年期>
好き嫌いが多く、この世で食べられるものが少なかった。
<青年期>
中途半端な生き方を謳歌する。芝居に出逢う。
<壮年期に差し掛かる、現在>
2012年1月12日(13日の金曜日イヴ)、突然、“声溜め”を公開することを決めた。

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