ゴべリンドンの沼

.19 2012 comment(8) trackback(0)
それは、東西線木場駅、もしくは、有楽町線豊洲駅から、それぞれ徒歩20分の処。
“ゴべリンドン特設劇場”と名付けられた、廃工場で行われている―――――

朧(おぼんろ)と云う集団が、なにか面白いことをやっているから、観に行こうと誘われたのが、確か去年。
が、その時はタイミングが合わず行けなかった。
誘ってくれたのは、平田朝音(ひらたともね)さん。
俳優座の女優である。
彼女とは、同じタイミングでロンドンに居合わせ、同じ先生に師事していたのだから、かれこれ十数年という古い付き合いだ。
帰国後も、何本か一緒に“もの創り”をしている。
青い部屋でのヘンテコパフォーマンス、女中たち、深海のスキャンダル……
この人との出逢いも、別の章で書いたシダミナとは違うニュアンスで、僕に大打撃を与えてくれた。(シダミナについては、ここをクリック
大先輩だが、ともねぇと呼ばせてもらっている。
まぁ、そんな人である。

久々に呑もうということになり、家にお邪魔した。
ふと、テーブルに置かれた印刷物に目が留まり、何の気なしに手に取ってみる。
というのも、僕好みの雰囲気を醸している絵面だったから。
土臭さがあって、でも、ゲスじゃない。
物語が感じられる、画面―――――

stage30019_1.jpg


「あ、それそれ、おぼんろのチラシ。誘ったやつ」

絵を見ていただけだったが、そう云われて初めて、それが芝居のチラシだと認識し、その上に載っている文字情報を追い始めた。
驚いた―――――知り合いが2人も出ている!
事あるごとに、何故だか出逢うという、不思議な御縁の人達だ……
タイムテーブルに目を移す。
今回は、日程的にタイミングも合う。
チラシのセンスも好き。
これは、観に行けということなのだろう。

それから数日後の、昨日。
ともねぇと木場駅で待ち合わせた。

さて、やっと辿り着いたそこは、エアコンもなく、まさに廃工場。
数台の扇風機が回り、開演前には、冷たいお水と団扇を配ってくれたが、この回は、20時開演。既に日も陰っているせいか、思ったほど暑くなかった。しかし、9月も半ばだというのに、猛暑が終わらない日中の暑さを思うと、マチネ公演は、きっと……などと、想像するのは止そう………

024_convert_20120919120931.jpg

演技エリアは、この空間全部。
ビールケースの観客席も、勿論舞台の一部。
段ボールとボロ布で創られた空間からは、嫌な印象を受けない。
汚くないのだ。
これって大切。
いくらお金を掛けて立派なセットを組み、高い生地の衣裳を身に纏っても、好感が持てなきゃ意味が無い。
さて、肝心の内容はと云うと……好い!
好いんだよ!
目撃すべき作品だと思う。
こういう集団にありがちな、イヤな熱さが無い。
でも、熱いのだ。
語弊があるかも知れないが、敢えて云わせて貰うと、僕は体育会系のノリが好きではない。
「俺たち!仲間だよな!!」的な熱さが、得意ではないのだ。
しかし、この集団は、熱さを孕んでいるのに、どこかクール……否、クールでもないか…?
とにかく、とても好いのだ。
マスターベーションに陥っているわけでもないし、互いの傷を舐め合っているわけでもない。
ちゃんと個人が居るのだ。
演者は5人。
この集団の主宰であり役者であり、作、演出も手掛ける末原君は、いい意味で危うさと幼さを持っているのだろう。
だからこそ、下手すれば浮いてしまう危険性だってあるわけだ。
しかし、彼を取り巻く4人が、そうはさせていない。
五人五様の色がしっかりとあり、互いに負けていないのに、ハーモニーを奏でる。
正直、悔しかった。
好いものを観ると、役者という人種は、悔しさで暴れたくなる生き物だ。

負けていられない。

こんな処で、ストレスを溜め込んでいる場合じゃないではないか!
アクションを起こさなきゃである。
そもそも、ActorはActingをする人なのだ。
Actの派生語はActionではないか。
やはり、アクションを起こさなきゃである。

終演後、駅までの同じ道のりは、えらくアッという間に感じた。


朧(おぼんろ)公演『ゴべリンドンの沼』

10/7までロングランをやっている。
是非、彼等を目撃して欲しい。
彼らの想いや公演詳細は、こちらをクリック
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comment

じゅん
ブログを拝見して、なんだかとても気になって…朧 観て来ました‼

新しい事に出会った時の、ドキドキとワクワク
役者さんから発せられるエネルギーと世界観に吸い込まれる感覚を味わいました。

良い芝居に出会わせてくださった、林さんに感謝‼
2012.09.21 19:02
kn
今日、マチネに参加してきました。

うまく言葉にできませんが、もういちど参加することになりそうです。

内容もさることながら、劇場までのあの道のりがいとしい。
また歩きたい…こんな公演は初めてです。
2012.09.22 20:31
sahigashi
まずはこのブログを書いてくれた勇輔君に感謝♪そしてこの書き込み嬉しいですね。あの廃工場までお越し下さったお客様に感謝でございます。ありがとうございます!!
2012.09.27 00:55
マミー
台風の中、林さんのブログを拝見してどうしても見に

行きたいという衝動に駆られ友人を誘い行って参りました!

本当に目撃できたという幸せに今浸っています!

廃工場に足を踏み入れた瞬間からこの物語の世界に引き込まれ

痛みを伴う大人のファンタジーの世界に魅了されてしまいました!

昔通ったベニサン・ピットの世界を思いだし懐かしい気持ちにも

なりました!

心震わせられ、役者さんたちの発する魂の叫びに魂を鷲掴みに

されたような舞台でした!

素敵な舞台を紹介して頂けて感謝感謝です!

そしてこれからの林さんにも想いを馳せております!

ありがとうございました!
2012.09.30 23:13
sahigashi
勇介君のブログをお借りして返答すいません。
マミ―さん、ありがとうございました!!!
ベニサンピットの話を出来た事が良かったです♪同じ舞台を観て感動を共有できるなんてそうはないですからね♪楽しかったです。
舞台も気にいって頂きホッとしています。ご友人の方にもよろしくお伝えください。ありがとうございました。
そして勇輔君ありがと―♪

2012.09.30 23:48
yoosque
この場が、好いコミュニケーションの場になって嬉しいです!
僕を応援してくれる方たちが、長い道程をわざわざ辿りゴべリンドンを目撃し、更には、好いと感じてくれることに、とても歓びを感じます。
ジュンペイさん、あと一週間ですね。増々、感動の輪が広がることを願っています。
2012.10.01 00:33
sahigashi
長い道程を観に来てくださる♪それを私はユウスケマジック!!と呼んでます♪♪「勇輔君のファンなので感性が合うと思って観に来ました♪」という方々ですわぁ♪感謝です。
ラスト8ステ―ジ、飛ばします。しかし今日は休演日、身体のメンテナンスの日、ボロボロなので。
頑張ります!!!
2012.10.01 08:49
マミー
林さまのお陰で沢山の幸せを頂けて感謝いたします。
さひがし様のコメントに恐縮しております。
素敵なお芝居の後に、台風の為悪天候の不安を払拭するかの如く、観客のお一人のタクシードライバーの方が駅まで私達観客をピストン運動の如く運んでくださり、世知辛くなった今日この頃に人の温かさを感じさせて頂き感動しております。
ゴベリンドンの沼の千秋楽までのご成功をお祈りしております。
林さま、この場をお借りする失礼をお許しくださいませ。

2012.10.02 00:27

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Author:yoosque
林勇輔――――役者
1974年5月16日(木)、疳の蟲を身体いっぱいに抱え、この世に生まれ出ずる。
<幼年期>
蟲たちは、勇輔の故郷、讃岐の民間療法により体外に誘き出され駆除されたかに見えたが、未だ体内に巣食っている模様。
<少年期>
好き嫌いが多く、この世で食べられるものが少なかった。
<青年期>
中途半端な生き方を謳歌する。芝居に出逢う。
<壮年期に差し掛かる、現在>
2012年1月12日(13日の金曜日イヴ)、突然、“声溜め”を公開することを決めた。

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